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千葉県公立高校 入試講評


【23.3.3 up】

 

千葉県公立高校入試の予想平均点確定版です。組合加盟塾から提供された自己採点全データで作成した散布図では、予想平均点は速報値から6.39点下がり266.24点となりました。英語は難化しましたが、組合作成オリジナル予想問題の効果か、組合加盟塾生の理社は上がっており、結果5科合計ではほぼ昨年並みの数値となりました。

 

【総評】
前期・後期から一本化されて3度目の入試でした。
追試験は過去3年で、9名⇒179名⇒43名(全日制の出願者数)と、コロナ2019の影響も徐々に収束に向かっているように思います。

全体として大問構成は昨年から大きく変化はなく、引き続き「思考力・判断力・表現力」、そして「活用力」が要求されるような出題になっております。特に社会では、資料の活用問題として大問1(4)・大問2(2)・大問3(5)・大問6(3)・大問7(3)と、「活用力」を必要とする問題が多く出題されました。

現時点での平均点予測は266±5点(千葉学習塾協同組合調べ)、英語は難化しましたが、組合作成オリジナル予想問題の効果か、組合加盟塾生の理社は上がっており、結果5科合計ではほぼ昨年並みの数値となりました。

全日制の定員30,960人に対して、志願者が34,793人。倍率は、約1.12倍と、昨年度から0.01ポイント上昇しました。

また、公立中学校の中3在籍者数における公立高校の志願割合は70,5%で、昨年より00,1%ポイント上昇しましたが、入試一本化以前の数値には戻らず、この3年間は70%程度の推移を続けています。

西尾 知大(個別指導Axis 本八幡駅前校)

 

【国語】
国語は定年通り、聞き取り、漢字の書きとり・読み取り、説明的文章の読解、文学的文章の読解、古典的文章の読解、条件作文の構成であった。昨年増えた記述解答の設問も今年も同じように出題された。
ここ数年の傾向である、複数の文を読み意見をまとめる、論理展開を理解するという読解問題は、難しかったのではないかと思われる。最後の条件作文では、資料が一般に想像される結果とは違う結果がデータとして示されていたので、作文の内容に困った受験生が多かったのではないかと考えられる。
相変わらずの試験時間に対する問題数の多さや、記述問題の量、論理力、思考力を問われる問題などから平均点は昨年と同様か少し下がると考えられる。

宮澤 歩(秀英ゼミナールSS教室)

 

【数学】
大問数は変更された昨年度と同様に1〜4であった。箱ひげ図は2年連続の出題であったが、それも含めて大問1は昨年度より解きやすい問題が多かった。大問2の関数では見慣れた放物線ではなく比例のグラフだったため動揺があったかもしれない。(2)では座標を文字で置き換えて、手順を追いながら解き進めることが必要で、早く正確な計算力も求められた。大問4は昨年度と同様に会話文を読み進めて解く問題であったが、題材は「じゃんけん」なので身近なものでイメージしやすい反面、残り時間が少ない受験生には会話文の文量や、公立高校入試では珍しい不定方程式の問題がプレッシャーになったのではないだろうか。データの活用の配点が昨年度の9点から今年度は14点に大きく増えたことからも、「数学を活用して粘り強く考える力を養う」ということが受験生に求められている。そして大問3(3)のような難易度の高い問題を後回しにするなどの時間配分も必要だったように思われる。

金澤 英治(志惺塾)

 

【英語】
問題構成自体は昨年と変化はなく、大問9題、小問32題であった。内容的には大問5の文法問題、6の条件英作文は比較的容易であった。しかし、他の設問は語彙レベルが上がると共に、解答までのプロセスで手数が必要になり、思考力を要する問題も増えたことで、平均点は下がるものと思われる。特に、リスニングの大問4の単語記述や条件英作文以外の記述問題では無答率が上がると予想される。大学入試共通テストの影響が強く感じられる出題になっているので、今後の対策としては、語彙の増強はもちろん、長文と図表から必要な情報を集める処理能力を高める訓練が必要になると考える。

柳田 浩靖(日米文化学院)

 

【理科】
問題構成は昨年度と変わらず大問1から9までである。大問1は基本的な小問集合、大問2~9は物理・化学・生物・地学の4領域からそれぞれ2問ずつの構成であった。出題学年も大問2・5・9が第1学年から、大問4・8が第2学年から、大問3・6・7が第3学年からと、全学年からバランスよく出題されている。

例年同様「観察・実験を題材とした問題」が多く、図や表が多用されている。また会話文の文量も多いので、必要な情報を素早く選び取る能力が必要とされている。

記述式の問題は昨年度が5問に対して、今年度は4問の出題であった。数は少し減ったものの配点は12点と依然多く、原理などを自分の言葉で説明する表現力が問われている。とくに大問3(4)の「進化とは何か」の記述については、文を簡潔にまとめるうえで何を押さえればよいのか書きあぐねた受験生も多かっただろうと思われる。作図・グラフの問題は昨年度と同じく2問の出題であった。

千葉県に関するトピックとしては「チバニアン」の地層についての問題が大問5で扱われた。小問(1)~(3)のそれぞれについては基礎的な知識を問う比較的平易な問題であったが、チバニアンについて興味を持って自身で調べたことのある生徒は、より自信をもって解答できたのではないだろうか。

大問6は化学の領域から、新学習指導要領で詳しく扱われることになった「金属のイオンへのなりやすさ」についての出題であった。マイクロプレートというあまり見慣れぬ実験器具に、4種の水溶液と4種の金属片を組み合わせた図表の複雑さにまず目をむいた受験生が多かったのではないだろうか。しかし落ち着いてよく見てみると、決して難解すぎる問題というわけではない。その図表の「見方」さえ分かれば必要な情報を選び取り、解答へたどり着けるはずである。

西出 季生(進学塾ベルゲン)

 

【社会】
今年の千葉県公立入試(本検査)の問題形式は、大問数8(昨年8)、小問数32(昨年32)選択22問(昨年23問)、短答8問(昨年9問)、記述3問(昨年3問)、昨年からの大きな変更点はありませんでした。ただし、大問1の総合問題は令和2年度入試まで出題されていた千葉県関連の三分野融合問題が復活しましたが、千葉県の知識を問うわけではなく、あくまでも地理、歴史、公民分野の学習内容を問うものなので、さほど気にしなくてもよいものとなっていました。

その他として、大問2の日本地理では防災に関する出題、大問3の世界地理では複数資料を用いた時差の問題、大問5の近現代史では北里柴三郎の略年表や1970年の日本万国博覧会(大阪府)、大問6の公民経済分野の複数資料を使った読み取り問題など、他の公立入試問題でもあまり見ない特徴のある問題の出題もありました。

また、統計資料の読み取りや、年代整序、すべて正しいときに点を与える完答問題も多いため、難しく感じた生徒も多かったでしょう。とはいえ、教科書内容の基礎的知識や理解を問う問題も多く見られましたので、教科書を活用して基礎・基本をしっかり押さえていった生徒は、良い点数が取れたのではないでしょうか。

松浦 重雅(教進セミナー)

 

 

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